御挨拶
   文化遺産の保存修復に求められる大切なものの一つに、文化遺産から放射される「エトス」に感応するという事があると思います。弊社の社名「エトス」は、粗野なわれわれがエトスに感応できるようにと願って命名したものです。歴史的美術的価値のあるものにより強くエトスを感じることはもとより大切な事ではありますが、それよりも弊社にとってまず大切な事は、名も無き路傍の石仏などににもエトスを感じる事ではないかと思っております。そこには歴史的美術的価値はないかもしれませんが、名も無き人々のさまざまな想いや願いがこめられているものであり、それら人々の素朴な想念に対してもエトスを感ずるようになる事が弊社にとってまず大切でないかと考えております。

 弊社は合成樹脂による工事業を化学工業、土木建築の分野で長らく営んでまいりました。そのかたわら、私の個人的な趣味で、文化財保存修復の勉強をしていたところ、思いも掛けず、昭和59年2月大牧1号古墳(岐阜県各務原市)の保存修復を手掛けさせて頂きました。手探りで恐る恐る取組んだ訳なので、保存の理念や技法に間違いや失敗はないかと毎日が心配の連続でした。完了後16年が経過しました。いやまだ16年しか経っていないというべきかもしれません。この間、経年変化などが心配されましたが、今のところ大きな問題は生じてないようですので少しは安心してるところです。
 この大牧1号古墳を嚆矢として、その後、建造物関係を主体にやらさせて頂き、処置件数も対象種類(石、木、瓦、漆喰、遺跡、美術品)も次第に増えてまいりました。これも多くの方の御指導を頂いた御蔭であり、市井の一工事屋に過ぎない弊社にとっては身に余る喜びであり、強く感謝の念を覚える所であります。これからも謙虚にそして情熱を持って取り組んでいきたいと思っていますので、厳しく御指導下さいます様御願い申し上げます。


平成12年7月
株式会社ざエトス
代表取締役
  海老澤 孝雄


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